祖父が、自らの死を通して私に伝えてくれたこと。
― 4000億分の1の物語 ―
自分の人生は、いったい何のためにあるのだろう。
私は、これまでずっと考えてきました。
何のために生まれ、何のために生きているのか。
そして、自分はこの人生で何を成し遂げ、何を残していくのか。
「自分は、何のためにこの地球に存在しているのだろう?」
あまりにも本質的で、簡単には答えの出ない問い。
その答えを探し続けていた私に、人生を大きく変える出来事が訪れました。
それは、2024年の春。
最愛の祖父との別れでした。
そしてその別れは、私にとって、ただ悲しいだけの出来事ではありませんでした。
祖父が自らの死を通して、私に大切なことを伝えてくれた。
今では、そう受け止めています。
祖父と桜の思い出。
幼い頃、私は祖父と一緒に近くの公園へお花見に行くことが大好きでした。
春になると咲き誇る、美しい桜。
祖父と一緒に見上げたその景色は、今でも鮮明に覚えています。
私にとって桜は、ただ美しい花ではありません。
祖父との温かい思い出が詰まった、特別な存在でした。
当時は、その桜が後に自分の人生を大きく変えることになるとは、思ってもいませんでした。
2024年。新たな挑戦の始まり。
2024年1月頃。
私は、新しい会社を設立しようと考えていました。
どんな会社名にしようか。
そう考えていたとき、ふと頭に浮かんだ言葉がありました。
「ENSAKU(エンサク)」
もともとは、私の好きなアーティストのニックネームでもあった言葉です。
なぜその名前が浮かんだのか、当時は深く考えていませんでした。
ただ、不思議とその名前に惹かれました。
そして、もう一つ。
「会社の設立日は、2024年4月1日にしよう。」
これもまた、直感でした。
こうして私は、4月1日の会社設立に向けて準備を進めていました。
しかし、その日が近づくにつれ、思いもよらない出来事が起こります。
3月26日。突然の直感。
会社設立予定日まで、あと数日。
3月26日の深夜、私はいつものように設立準備を進めていました。
そのとき、何の前触れもなく、ある考えが頭に浮かびました。
「4月1日に、会社は設立しない気がする。」
なぜそう思ったのか。
理由はまったくわかりませんでした。
それまで4月1日の設立に向けて準備をしていたのに、突然そんな直感が降ってきたのです。
そして翌日、その理由を知ることになりました。
3月27日。祖父との突然の別れ。
母から一通のメッセージが届きました。
「おじいちゃんが亡くなった。」
そして、もう一つ。
「お葬式は4月1日に決まった。」
その日付を見たとき、言葉を失いました。
4月1日。
それは、私が新しい会社を設立しようと決めていた日でした。
新たな人生の一歩を踏み出そうとしていたその日が、最愛の祖父を見送る日になったのです。
なぜ、このタイミングだったのだろう。
なぜ、会社の設立日として4月1日を選んだのだろう。
そして、なぜ前日の夜に、設立しないような気がしたのだろう。
偶然と言えば、それまでなのかもしれません。
けれど私には、何か大切な意味があるように思えてなりませんでした。
3月30日。祖父の手が伝えてくれたもの。
納棺式の日。
祖父の身体を清める儀式の中で、私は祖父の右手を清めることになりました。
そのとき、祖父の手を握りました。
すると、私には祖父が強く握り返してくれたように感じられたのです。
一瞬、何が起こったのかわかりませんでした。
驚きながらも、私はこう思いました。
「おじいちゃんは、何かを伝えようとしているのではないか。」
何か大切なメッセージがあるのではないか。
そう感じて、自分の心に問いかけました。
しかし、そのときは何もわかりませんでした。
祖父が何を伝えたかったのか。
その意味を理解することになるのは、4月1日のことでした。
4月1日。一本の大きな桜。
祖父を見送る日。
そして、本来であれば新しい会社を設立するはずだった日。
最後のお別れを終え、祖父を火葬炉へ見送りました。
手を合わせ、控室へ向かいました。
しばらくすると、ふと外に出たくなりました。
まるで、誰かに呼ばれているような感覚でした。
控室を出て、外へ向かう。
そして、顔を上げた瞬間。
そこには、一本の大きな桜の木がありました。
満開の桜が、力強く咲き誇っていたのです。
私は、しばらくその桜を見上げていました。
そして、桜という存在について考え始めました。
桜が咲く季節になると、多くの人がお花見に出かけます。
家族や友人、恋人、仲間たち。
桜の下には自然と人が集まり、笑顔が生まれる。
誰かにとっては、大切な人との思い出になる。
誰かにとっては、新しい人生の始まりを感じる景色になる。
桜は、多くの人に愛され、人々を笑顔にする存在です。
そして、桜は「始まり」を象徴する花でもあります。
そんなことを考えているうちに、ふと一つの言葉が浮かびました。
「何かが終わるとき、必ず何かが始まる。」
今日、祖父の人生が終わる。
では、いったい何が始まるのだろう。
そのときの私には、まだ答えがわかりませんでした。
祖父が残した「生きた証」。
火葬が終わり、収骨のために再び火葬炉へ向かいました。
そこで、また一つ、忘れられない出来事がありました。
祖父の遺骨が、驚くほどしっかりと残っていたのです。
担当の方も、その量に驚いている様子でした。
私はその光景を見ながら、祖父が最後まで自分の存在を示しているように感じました。
まるで、
「三季人は、俺のように残せるか?」
そう問いかけられているような気がしたのです。
もちろん、それは骨という物質的な意味ではありません。
祖父が私に問いかけているように感じたのは、
「お前は、自分が生きた証を残せるか?」
ということでした。
人はいつか、必ず人生の終わりを迎えます。
どれほど長く生きても、いつかその日は訪れる。
では、そのとき自分には何が残るのだろう。
財産でしょうか。
地位や名誉でしょうか。
それとも、誰かの心に残る思い出や、誰かの人生に与えた影響でしょうか。
私は、祖父の遺骨を前にして、ずっと考えてきた問いと再び向き合うことになりました。
「自分は、何のためにこの地球に存在しているのだろう?」
この問いに、今まで以上に深く向き合った瞬間でした。
「三季人、咲き続けろよ。」
収骨を終え、帰ろうとしたときのことです。
先ほど見上げていた、大きな桜の木が風に揺れました。
何気なく顔を上げ、その桜を見た瞬間。
私の中に、強烈な感覚が走りました。
そして、まるで祖父の声が響いたかのように、ある言葉が心に飛び込んできたのです。
「三季人、咲き続けろよ!!」
その瞬間、これまで起きた出来事が、一つにつながった気がしました。
祖父と一緒に見た、幼い頃の桜。
会社名として直感的に思い浮かんだ「ENSAKU」。
会社の設立日として選んだ4月1日。
祖父との別れ。
そして、葬儀場で出会った一本の桜。
「永遠に咲く。」
ENSAKU。
EIEN NI SAKU。
私が何気なく選んだその名前に、初めて自分なりの意味を見いだした瞬間でした。
永遠に咲き続けるということ。
桜は、毎年咲き続けます。
多くの人がその姿を楽しみにし、桜の下に集まり、笑顔になります。
その年の花が散っても、次の春にはまた新しい花を咲かせる。
私は、そんな桜のような存在になりたいと思いました。
誰かにとって、会うことが楽しみになる存在。
誰かにとって、明日を頑張る理由になる存在。
誰かの人生に、笑顔や希望を生み出せる存在。
そして、自分がいなくなったあとも、誰かの心に何かを残せる存在。
それこそが、祖父が私に伝えたかったことなのではないか。
私は、そう受け止めました。
自分の人生は、いったい何のためにあるのだろう。
その問いに、たった一つの正解があるとは思いません。
けれど、祖父との別れを通して、私が目指したい生き方は明確になりました。
自分自身が咲き続けることで、誰かの人生にも花を咲かせたい。
祖父が自らの死を通して私に伝えてくれたのは、そんな生き方だったのだと思います。
4000億分の1の物語。
あとになって、私は4月1日の誕生花についても調べました。
そこで目にした花の一つが、桜でした。
会社設立日として選んだ4月1日。
祖父を見送ることになった4月1日。
そして、祖父との思い出が詰まった桜。
私にとって、それらが重なったことには特別な意味がありました。
私は、この出来事を「4000億分の1の物語」と呼んでいます。
それは、偶然の確率を証明したいからではありません。
私にとって、祖父から受け取った最後の贈り物を表す言葉だからです。
この想いを、IDEA CUPへ。
私がIDEA CUPを運営するうえで大切にしていることがあります。
それは、単にバレーボール大会を開催することではありません。
そこに集まる一人ひとりに、かけがえのない時間を届けることです。
仲間と出会う。
本気でプレーする。
喜び、悔しがり、笑い合う。
自分では気づかなかった魅力を、誰かに認めてもらう。
そして、大会が終わった帰り道に、
「今日、楽しかったな。」
「またみんなに会いたいな。」
そう思ってもらえる。
そんな一日を、つくりたいのです。
私は、学生時代のように何かに夢中になれる時間が、大人になっても人生を豊かにしてくれると信じています。
毎週末が待ち遠しくなる。
大切な仲間に会える日を、心から楽しみにできる。
そうした小さな幸せが、日常を特別なものに変えてくれる。
祖父が私に残してくれたものが、今も私の人生を支えているように。
IDEA CUPで生まれた出会いや思い出が、誰かの人生を支えるものになってくれたら。
これほど嬉しいことはありません。
桜のように、人が自然と集まり、笑顔が生まれる場所。
一人ひとりが自分らしく輝き、何度でも帰ってきたくなる場所。
そんな場所を、これからもつくり続けたいと思っています。
祖父が私に教えてくれた「永遠に咲く」という生き方。
その想いを胸に、これからも挑戦し続けます。
IDEA CUPに関わってくださるすべての皆さまに、心から感謝申し上げます。
株式会社ENSAKU
代表 小松 三季人